メンバー

井出 哲

IDE, Satoshi

教授
固体地球科学講座

居室: 理学部1号館717
電話: 03-5841-4653
ファックス: --
メールアドレス:
HP: http://www-solid.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~ide/index.html

研究分野

地震学・地震発生論

研究内容

地震破壊現象(断層すべり運動)の特徴は何か?どのような環境条件や物理法則が重要か?という問題を主に研究している。
研究にはデータ解析やシミュレーションという方法を用いる。地震波形を用いた断層すべりインバージョンで地震が時間的に、空間的に成長していく様子が明らかになる。これまでに地震波形インバージョン手法を開発改良し観測データへ適用することでマグニチュード9クラスの巨大地震から、岩盤の小破壊までさまざまな地震の詳細な破壊過程を明らかにしてきた。一方で地震時の放出エネルギー総量というマクロパラメターに着目すると、地震はあまりスケールの違いによらない相似的な現象であることもわかってきた。
最近我々は「ゆっくり地震」についての研究において画期的な成果を上げつつある。我々のグループでは西日本に発生する「ゆっくり地震」がプレート境界面のすべり運動で世界中の類似の現象と共通のスケール法則で支配されていることを示した。
データ解析ではわからないミクロなプロセスの影響を調べるためにシミュレーションも行っている。地震の確率的な側面を記述するためにランダムシミュレーションが役に立つ。最近では統計的自己相似性が成り立つランダム媒質中のクラックの伝播現象のシミュレーションからデータ解析と調和的な結果が導かれることを示した。

主要論文・著書

1. Ide, S., Frequent observations of identical onsets of large and small earthquakes, Nature, 573, 112-116, 2019.
2. Ide, S., A. Baltay, and G. C. Beroza, Shallow Dynamic Overshoot and Energetic Deep Rupture in the 2011 Mw 9.0 Tohoku-Oki Earthquake, Science, 332, 1426-1429, 2011.
3. Ide, S., Striations, duration, migration and tidal response in deep tremor, Nature, 466, 356-359, 2010.
4. 井出哲, 絵でわかる地震の科学, 講談社, 2017.
5. 井出哲, 東北沖巨大地震はどのような現象だったのか?, 東京大学理学系研究科・理学部ニュース, 43, 3-11, 2011.
6. 井出哲,ゆっくり地震とは何だろう,地震学会広報誌なゐふる, 64, 6, 2007.