メンバー
中村 尚NAKAMURA, Hisashi 教授 居室: 先端研3号館 (駒場IIcampus)410 |
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研究分野気候力学・大気海洋相互作用・異常気象と気候変動 研究内容私の研究グループでは、我々の気候系で起こる様々な時間規模の重要な現象を、観測データの力学的診断及び数値モデリングにより調べている。我々の目標は、これらの個々の現象のメカニズムだけでなく、それらの相互作用の解明にある。我々は最近、中高緯度気候系形成を新観点から捉え直している。それは、海洋の亜熱帯・亜寒帯両循環系の境界を成す海洋前線に伴う大気海洋熱交換の南北差が、移動性高低気圧波の活動を維持し、波動に伴う運動量輸送が中緯度の西風ジェットや海上偏西風という大循環の重要構成要素の形成や卓越変動(北極振動など)に寄与するという新しい大気海洋相互作用の観点である。また、暖流に伴う雲・降水系の組織化や集中豪雨,海洋前線に伴う海上の温度移流が下層雲の形成や変動に果たす役割も探求している。更には、夏季亜熱帯の大気・海洋・陸域相互作用の観点から、亜熱帯高気圧の形成の新解釈を呈示し、小笠原高気圧の変動とそれに関わる熱帯北西太平洋の積雲対流活動については、モンスーン循環の東縁に卓越する力学モードという新解釈を呈示した。一方、各瞬間のロスビー波束の3次元伝播を表わす活動度フラックスの定式化に成功し、現在気象庁の気候診断でも活用されている。このフラックスにより、下部成層圏の波動が対流圏循環異常の発達に及ぼす影響等、従来の診断法では不可能だった力学現象を捉えることに成功している。さらに、こうした循環変動やが将来の温暖化に伴いいかなる変調を被るか調査している。 主要論文・著書
1. Miyamoto, A., H. Nakamura, T. Miyasaka, 2018: Influence of the subtropical high and stormtrack on low-cloud fraction and its seasonality over the South Indian Ocean, J. Climate, 31, 4017-4038. |