メンバー

山野 誠

YAMANO, Makoto

教授
地震研究所

居室: 地震研究所1号館705
電話: 03-5841-5720
ファックス: 03-5689-7234
メールアドレス:
HP:  

研究分野

地球熱学・テクトニクス

研究内容

日本列島を始めとする各地の沈み込み帯について、地下温度構造と熱輸送過程に関する研究を行っている。
岩石の物理的・化学的な性質は温度によって大きく変化する。このため、沈み込み帯における諸過程(地震活動、地殻の変形・流動、火成活動、変成作用等)は温度構造と密接に関係しており、例えばプレート境界で発生する巨大地震の震源域の広がりも、温度に強く支配されると考えられる。
現在の主な研究対象は、日本海溝(東北日本)及び南海トラフ(西南日本)沈み込み帯であり、海域を中心とした熱流量(地表面から流出する熱量)の測定と、それに基づく地下温度構造の推定を行っている。なかでも、日本海溝海側の太平洋プレート上や南海トラフにおける熱流量分布と、沈み込む海洋地殻の構造の関係に着目して研究を進めている。いずれの地域でも、地殻内の流体循環による熱輸送が重要と考えられ、観測に加えて、流体流動を考慮したモデル計算を行うことで、沈み込み帯の温度構造を解明しようとしている。間隙流体や温度構造の研究には、他の手法による情報も必要であり、電磁気や地震波による構造探査等の研究者と共同研究を行っている。さらに、海洋地殻の破砕や水の浸入など、海溝海側で生じるさまざまな過程とその沈み込み境界への影響について、岩石学・地球化学等も含む総合的な研究を進めつつある。
海底水温の変動が激しい浅海域では、表層堆積物中の温度が乱されるため熱流量を測定することが困難である。このため我々は、堆積物中の温度分布を長期計測し、データ解析により水温変動の影響を取り除くという手法を開発し、浅海域での熱流量測定を実施している。また、水温変動の影響を積極的に利用し、長期温度記録を解析して堆積物中の間隙水流動とその時間変動を調べる研究も進めている。
この他、掘削孔を利用した観測・研究も行っている。一つは活断層の温度構造の研究であり、掘削孔内の温度分布の長期観測により、断層運動に伴う熱の発生や流体の移動について調べるものである。さらに、孔内温度分布を解析することで地表面温度変動を復元するという手法を用いて、過去の温度環境の変遷を調べる研究を、国内や東アジア地域において実施している。

主要論文・著書

1. M. Yamano, H. Hamamoto, Y. Kawada, and S. Goto: "Heat flow anomaly on the seaward side of the Japan Trench associated with deformation of the incoming Pacific plate", Earth Planet. Sci. Lett., 407, 196-204, 2014.
2. H. Hamamoto, M. Yamano, S. Goto, M. Kinoshita, K. Fujino, and K. Wang: "Heat flow distribution and thermal structure of the Nankai subduction zone off the Kii Peninsula", Geochem. Geophys. Geosyst., 12, Q0AD20, doi:10.1029/2011GC003623, 2011.
3. M. Yamano, S. Goto, A. Miyakoshi, H. Hamamoto, R.F. Lubis, Vuthy M., and M. Taniguchi: "Reconstruction of the thermal environment evolution in urban areas from underground temperature distribution", Sci. Total Environ., 407, 3120-3128, 2009.
4. 山野誠、川田佳史:「海溝近傍の熱流量異常 −海洋地殻内の流体循環による熱輸送−」、地学雑誌、126, 147-161, 2017.
5. 濱元栄起、山野誠、後藤秀作、谷口真人:「地下温度データを用いた過去の地表面温度履歴の推定 −バンコク地域への適用−」、物理探査、62, 575-584, 2009.
6. 山野誠、木下正高、松林修、中野幸彦:「南海トラフ付加体の温度構造と間隙流体による熱輸送」、 地学雑誌、109, 540-553, 2000.