メンバー

羽角 博康

HASUMI, Hiroyasu

教授
大気海洋研究所

居室: 柏キャンパス総合研究棟313
電話: 04-7136-4407
ファックス: 04-7136-4375
メールアドレス:
HP: http://ccsr.aori.u-tokyo.ac.jp/~hasumi/

 

研究分野

海洋物理学・気候力学

研究内容

海洋および気候の数値モデルを開発しながら、様々な時空間スケールにおける海洋循環、およびそれを通した気候の研究を行っている。現在の具体的な研究テーマは以下の通りだが、海洋循環の数値モデリングを軸とする研究であれば幅広く対応できる。
1.全球海洋熱塩循環の力学:全球海洋熱塩循環は気候の長期的安定性や大規模変動を司る重要要素のひとつであるが、その実態には不明な点がまだ多い。全球海洋熱塩循環は、海面フラックス(熱・淡水・運動量)・深層水形成・中小規模渦による混合・乱流混合など、多種多様な物理過程によりコントロールされている。多角的な視点から全球海洋熱塩循環を総合的に研究し、実態の解明と力学機構の理解を目指す。
2.極域海洋と気候:極域海洋は、近年の気候温暖化の中で特に大きな変化を示す海域であるとともに、全球海洋熱塩循環の起点となる深層水形成が生じる海域としての重要性も高い。その一方で、雪氷圏との相互作用など特殊な環境にある上、観測の困難さも加わり、実態把握が特に遅れている海域でもある。観測研究と強く連携したモデリング研究を通して極域海洋の実態を把握し、極域海洋が全球海洋循環や気候において果たす役割の解明を目指す。
3.沿岸・大陸棚域と全球海洋:陸域から河川を通して海洋に流入する淡水や物質は海洋大循環・物質循環にとって重要である。沿岸や大陸棚上の海洋現象は外洋域と異なる特有の物理・化学・生物過程がコントロールしており、外洋域との海水交換にも特有の物理過程が作用する。これらの過程を研究しながら、全球規模海洋循環・物質循環の全体像の解明を目指す。
4.北太平洋域の海洋循環と気候:世界有数の強海流である黒潮は、日本付近はもとより、北太平洋全域の気候や水産などに大きな影響を及ぼす。黒潮は特有かつ大きな変動性を示す海流として知られており、その変動性と関連して太平洋中層に及ぶ現象は海洋二酸化炭素吸収・酸性化における重要性が高いことも指摘されている。黒潮をはじめとした北太平洋域の海流・海洋現象とその変動性を研究し、それが気候変動や海洋物質循環において果たす役割の解明を目指す。

主要論文・著書

1. Kusahara, K., H. Hasumi et al. (2017): Modeling ocean-cryosphere interactions off the Adelie and George V Land coast, Journal of Climate, 30, 163-188.
2. Kawasaki, T., and H. Hasumi (2016): The inflow of Atlantic water at the Fram Strait and its interannual variability, Journal of Geophysical Research Oceans, 121, 502-519.
3. Hasumi, H. (2014): A review on ocean resolution dependence of climate biases in AOGCMs, CLIVAR Exchanges, 65, 7-9.
4. 羽角博康 (2017): 将来の海の変化, 『海の温暖化』, 日本海洋学会編, 丸善出版株式会社, 23-27.
5. 羽角博康 (2014): 海洋大循環, 『地球温暖化の事典』, 独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター編, 丸善出版株式会社, 117-121.
6. 羽角博康 (2010): 深層水形成・循環モデリングのこれから, 月刊海洋号外, 54, 96-100.