メンバー

武井 康子

TAKEI, Yasuko

教授
固体地球科学講座

居室: 理学部1号館中央棟744
電話: 03-5841-4509
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研究分野

地球内部物性とダイナミクス

研究内容

岩石は鉱物の多結晶体であり、地球内部のような高温高圧では、マクロな物性が原子スケールの欠陥(転位や粒界など)のふるまいに左右される。岩石のマクロな振る舞いを知るためには、ミクロなプロセスの解明が不可欠となる。
1、アナログ実験
岩石物性の解明が難しい理由は、多結晶体の持つ複雑さと、高温高圧実験の難しさにある。しかし発想を転換して、融点の低い適切なアナログ多結晶体を用いれば、地球内部と共通の物理素過程を常温常圧近傍でも再現することが可能でくぁる。このような手法で岩石では実験が不可能なさまざまな実験を実現し、高精度の実験データを取得している。
2、ミクロとマクロを結ぶ理論
アナログ実験の結果を地球内部に応用するためには、理論モデルによって個々の物質によらない普遍的メカニズムを明らかにすることが重要である。岩石のマクロな力学構成則をミクロな素過程に基づいて導出する理論開発を行なっている。
3、 岩石の粘弾性構成則と粒界相転移
岩石の粘弾性構成則は、測地学が対象とするようなゆっくりとした変動現象から地震波伝搬のような素早い現象までをシームレスに記述するためによく用いられているが、岩石粘弾性のミクロなメカニズムはよくわかっていなかった。最近になって、粘性から弾性に至る全ての時間スケールにわたって粒界での原子拡散や滑りが重要な役割を果たしていることがわかってきた。粒界は厚さが数ナノメートルの非常に薄い領域であるにも拘わらず、温度・圧力・化学組成によって相転移(粒界メルティング)も起こし、これがマントルの地震波構造(低速度域の存在)や粘性構造(アセノスフェアの存在)を理解する鍵になることが、アナログ多結晶体での実験データからわかってきた。

主要論文・著書

1. Takei Y. 2017, Effects of partial melting on seismic velocity and attenuation: A new insight from experiments, Annu. Rev. Earth Planet. Sci. 45:447–70. https://doi.org/10.1146/annurev-earth-063016- 015820
2. Yamauchi, H., and Takei, Y. 2020, Application of a premelting model to the lithosphere-asthenosphere boundary. G-cubed, 21, https://doi.org/10.1029/2020GC009338
3. Takei Y. 2022, Effect of impurities on polycrystal anelasticity, JGR solid Earth, in press, https://doi.org/10.1029/2021JB023224
4. 武井康子 固液複合系の力学物性 2005, 地質学雑誌 114 6 901