メンバー

伊賀 啓太

IGA, Keita

准教授
大気海洋研究所

居室: 大気海洋研究所612
電話: 04-7136-6052
ファックス: 04-7136-6056
メールアドレス:
HP: http://dpo.aori.u-tokyo.ac.jp/dmmg/people/iga/index-j.html

研究分野

地球流体力学・気象力学・海洋力学

研究内容

大気や海の複雑に見える流れの中には多くの共通性が見られる。このような流れの基本的なメカニズムを、地球流体力学という手法を用いて明らかにしていくことを目指している。主に用いる手法は、簡単モデルによる数値実験と力学理論で、現在、行っているまたは行おうとしている課題には以下のようなものがある。(1)準地衡流乱流および2次元乱流のエネルギー輸送に関する研究--大気や海洋の大規模な運動は回転や成層の影響で2次元的な性質を持つ。このような準2次元運動をする乱流流体ではエネルギーの輸送が3次元乱流とは異なった性質を示すことが知られている。数値モデルによる計算によってこのような乱流のエネルギー輸送に関する研究を行っている。(2)ジェットの不安定から生じる渦列の性質--山の風下の弱風域や海洋の境界流など、周囲より流れが速かったり遅かったりする領域ではその不安定性から渦列が生成されることがある。このような渦列の統計的な性質を簡単な数値実験と理論を用いて調べている。(3)冬季日本海にできる帯状収束雲・渦状擾乱の発生メカニズム--冬の寒気吹き出し時には日本海上に帯状の収束雲ができたり、さらにそこから渦状の擾乱ができたりして、日本海側の地方に豪雪をもたらすことがある。この現象の発生メカニズムをモデルの数値実験や不安定理論などを用いて調べている。(4)地球流体における種々の基本的不安定・波動現象の統一的再解釈--大気や海洋の流れには流れの不安定性によって擾乱ができたり、さまざまな波動が存在したりする。これらの現象に対する理論的な説明は古くから行われてきているが、その仕組みを理解しやすいにまとめ直そうという目標を持っている。(5)地球流体の渦の生成に関する理論的・実験的研究--実験室で実現できるような簡単な系でのさまざまな渦の形成の様子を調べる。

主要論文・著書

1. K. Iga: Axisymmetric flow in a cylindrical tank over a rotating bottom. Part I. Analysis of boundary layers and vertical circulation, Fluid Dyn. Res., 49, 065502, 2017
2. K. Iga, Yokota S., Watanabe S., Ikeda T., Niino H. and Misawa N.: Various phenomena on a water vortex in a cylindrical tank over a rotating bottom, Fluid Dyn. Res., 46, 031409, 2014
3. K. Iga: Shear instability as a resonance between neutral waves hidden in a shear flow, J. Fluid Mech., 715, 452-476, 2013
4. 田中博・伊賀啓太:「はじめての気象学」, 放送大学教育振興会, pp.249 (2015)
5. 伊賀啓太:「ジェットの不安定から生じる渦列の統計理論」, 月刊海洋, 号外38(2004) 23-27
6. 伊賀啓太:「地球環境を学ぶための流体力学」第4,5,6章 (九州大学大学院総合理工学府大気海洋環境システム学専攻編), 成山堂書店, (2001)121-223