メンバー

飯塚 毅

IIZUKA, Tsuyoshi

准教授
固体地球科学講座

居室: 理学部1号館743
メールアドレス:
HP: http://www-solid.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~iizuka/index.html

研究分野

地球惑星化学

研究内容

固体地球惑星がどのようにして現在の姿に至ったか,その進化を地質学(フィールドワーク)・年代学・地球化学を用いて調べています.特に,以下のような研究テーマに取り組んでいます.
1.大陸地殻の起源と成長史
花崗岩からなる大陸地殻の存在は水惑星・地球の主要な特徴の一つであり,海水・大気組成を大きく左右しうる.このため大陸地殻の成長史を理解することは,地球の火成活動史(熱史)だけでなく,海水・大気組成・生命進化を議論する上でも重要である.我々は岩石・鉱物試料のウラン−鉛年代測定や放射性同位体分析を駆使して,その成長史を明らかにしようとしている.また,大陸地殻進化が表層環境変遷に果たした役割についても検討している.
2.初期地球進化
太陽系最初の10億年間の地球進化については,未だに分かっていないことが多い.これは>35億年前の岩石試料が極端に乏しいためである.我々は,北西カナダ,グリーンランド,西オーストラリア,南アフリカにごく僅かに存在する>35億年前の岩石・鉱物に着目し,初期地球の進化,特に地殻ーマントル進化と地殻ー大気海洋の相互作用を理解しようと試みている.
3.惑星の集積及び化学分化
惑星がどのような時間スケールで集積・形成され,コア−マントル−地殻に分化したのか(層構造の形成),その際に水はどのように振る舞っていたのかを隕石試料を用いて調べている.具体的には,ウラン−鉛同位体及び短寿命核種をもちいた年代分析や,リン酸塩鉱物を用いた原始惑星の含水量推定を行っている.
4.微量元素及び同位体分析法の開発
限られた試料からより有用(高精度・高確度)な微量元素及び同位体組成データを取得するため,分析手法の開発・改良をすすめている.

主要論文・著書

1. Iizuka T., Yamaguchi T., Itano K., Hibiya Y. and Suzuki K. (2017) What Hf isotopes in zircon tell us about crust–mantle evolution. Lithos 274-275, 304-327.
2. Iizuka T., Lai Y.-J., Akram W., Amelin Y. and Schönbächler M. (2016) The initial abundance and distribution of 92Nb in the Solar System. Earth and Planetary Science Letters 439, 172-181.
3. Iizuka T., Yamaguchi T., Hibiya Y. and Amelin Y. (2015) Meteorite zircon constraints on the bulk Lu–Hf isotope composition and early differentiation of the Earth. Proceedings of the National Academy of Sciences 112, 5331–5336.
4. 飯塚 毅 (2016) 地球における海洋と大陸の形成. 地球化学 50, 121–133.
5. 飯塚 毅 (2014) ハフニウム及びタングステン同位体から読み解く初期地殻進化. 地球化学 48, 13-30.
6. 平田 岳史, 浅田 陽一, Tunheng Apinya, 大野 剛, 飯塚 毅, 早野 由美子, 谷水 雅治, 折橋 裕二 (2004) レーザーアブレーション-誘導結合プラズマ質量分析法による地球化学試料の微量元素分析. 分析化学 53, 491-501.