メンバー

高橋 嘉夫

TAKAHASHI, Yoshio

教授
地球生命圏科学講座

居室: 理学部1号館C542
メールアドレス:
HP: http://www-gbs.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~environ/

研究分野

地球化学・環境化学・放射化学 (特に分子環境地球化学)

研究内容

 物質循環、環境・資源問題、エアロゾル、地球史、原発由来の放射性核種の挙動などの問題を、分子レベルの情報に基づき解決する。特にX線分光法を応用することで得られる元素の化学種の情報から、様々な試料に含まれる元素がなぜその濃度や同位体比でそこに存在するかを明らかにすることで、これまで得られなかった試料の起源や挙動に関する新しい地球化学的・環境化学的情報を得る。
例えば、「放射性セシウムがなぜ土壌表層に強く固定されるか」などの問題は、セシウムイオンの周囲の構造に強く影響される。
その他、現在扱っている問題は以下の通りである。・海水中の元素濃度や資源として重要なマンガン団塊中の元素濃度を物理化学的に説明し、その海洋中での挙動の理解につなげる。これは、地球の進化と共に生体必須元素がどのように変遷してきたか、などの問題を関連する。
<有害元素の挙動解明> 環境中でのヒ素などの有害元素や放射性核種の挙動を吸着反応、酸化還元反応、錯生成反応などの化学的素過程から明らかにし、天然での挙動の解明につなげる。
<海洋中での元素の挙動と生体必須元素> 吸着反応などにおける重元素の同位体分別を局所構造解析や量子化学計算から予想し、元素の性質から同位体分別を理解すると共に、その結果を用いて新しい同位体ツールを開発し、地球史の解明につなげる。
<エアロゾル化学> エアロゾル(黄砂、PM2.5など)中の様々な元素の化学種を解明することで、エアロゾルが環境に与える影響を解明する。また地球の温暖化・寒冷化に関連する化学種を特定し、エアロゾルが気候変動に与える影響の精密評価に貢献する。
<資源科学> レアアースの環境中での挙動を化学種の情報から明らかにする。特にレアアースの挙動に与える微生物の影響を明らかにする。これまでに解明した微生物細胞表面でのレアアースの結合サイトを明らかにすることで、微生物やDNAを用いたレアアースのリサイクル法を確立し、その手法の応用を進める。
<炭酸塩・硫酸塩への微量元素の固定とプロキシー化> 炭酸塩や硫酸塩への沈殿生成時での微量元素の取込みを調べ、微量元素の濃度や価数と酸化還元環境やpHなどとの関係を調べることで、過去の酸化還元環境やpHを推定する手法を確立する。
<関連HP>
https://www.youtube.com/watch?v=MpzH18jDnYg
https://www.youtube.com/watch?v=qZlrl7vXcuQ
http://www.hiroshima-u.ac.jp/wakateyousei/interview/p_ty86we.html

主要論文・著書

1. Y. Takahashi, Y. Minai, S. Ambe, Y. Makide, and F. Ambe, Comparison of adsorption behavior of multiple inorganic ions on kaolinite and silica in the presence of humic acid using the multitracer technique, Geochim. Cosmochim. Acta, 63, 815-836 (1999).
2. Y. Takahashi, R. Minamikawa, K. H. Hattori, K. Kurishima, N. Kihou, and K. Yuita, Arsenic behavior in paddy fields during the cycle of flooded and non-flooded periods, Environ. Sci. Technol., 38, 1038-1044 (2004).
3. Y. Takahashi, A. Manceau, N. Geoffroy, M. A. Marcus, and A. Usui, Chemical and structural control of the partitioning of Co, Ce, and Pb in marine ferromanganese oxides, Geochim. Cosmochim. Acta, 71, 984-1008 (2007).
4. 「地球化学」 (佐野有司・高橋嘉夫、共立出版、2013).
5. 「原発事故環境汚染 -福島第一原発事故の地球科学的側面」 (分担執筆、東大出版会、2014)
6. 「海底マンガン鉱床の地球科学」 (臼井朗・高橋嘉夫・伊藤孝・丸山明彦・鈴木勝彦、東大出版会、2015)