メンバー
木下 正高KINOSHITA, Masataka 教授 居室: 1号館404 |
|
研究分野海洋底地球物理学・掘削観測科学・地球熱学 研究内容地球内部で起こっている諸現象を描像とダイナミクスを理解するためには、微視的スケールでの素過程(物理・化学的過程)から、10km以上の大規模な物質・エネルギー循環およびテクトニックな変動過程まで、10桁以上のダイナミックレンジにわたる観測・研究が求められる。最近の分析機器や実験装置の進歩により、素過程のほうはサブミクロンスケールでの岩石-流体相互作用の直接観測が可能になってきたし、100mを超える広域情報も、構造探査技術の発達により10年前とは比較にならない明瞭な描像が得られるようになった。しかしながら、両者を接続するmmから100m程度の観測が遅れているために、統合的モデル構築が進まないと感じている。例えば現位置情報という観点では掘削・検層が重要であるが、コスト等の点から空間網羅性に制約を受ける。海底ケーブルによる海底観測網は、掘削孔観測所との併用により3次元的な描像に有用であろうが、これも設置・運用コストが大きい。 熱・水理的観測・監視を軸足としつつ、既往データ(地形・地質構造など)の十分な検討によるる「つぼ」の絞り込みを行い、大局的な視野を持って探索的・機動的な海底観測を実施し、系統的調査の「さきがけ」をなす。その上でビッグサイエンス(掘削科学・海底モニタリング)を主導していく。 特に「海溝型巨大地震発生の場を知る」ための観測・研究を重点的に推進する。破壊(地震発生)を規定する、せん断応力、上載荷重、有効摩擦係数(間隙水圧を含む)のうち、一番変動しやすいのが間隙水圧である。地震準備段階でテクトニック応力や海洋潮汐等の影響を受けた静的変動や、海洋潮汐に関連した変動、断層破壊時のダイナミックな挙動が注目されている。巨大地震断層の海底出口は、地下の水理状態をモニターする窓としての役割を持つ可能性が高い。掘削や海底ケーブルと合わせて、海底での熱・水理マッピング・モニタリングを強化して実施し、これまでに実施している数値計算と合わせてモデル化することで、地下の水や熱の動きを、これまでにない精度で把握する。 主要論文・著書
1. Kinoshita, M., Tobin, H.J. (2013), Interseismic stress accumulation at the locked zone of Nankai Trough seismogenic fault off Kii Peninsula, Tectonophysics, 600C, 153-164. http://dx.doi.org/10.1016/j.tecto.2013.03.015. |