メンバー

鈴木 雄治郎

SUZUKI, Yujiro

准教授
地震研究所

居室: 地震研究所2号館206
電話: 03-5841-5680
ファックス: --
メールアドレス:
HP: http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/people/yujiro/

 

研究分野

火山学・火山物理学

研究内容

火山噴火は,固体地球と大気海洋にまたがるダイナミックな地学現象です.火山爆発や噴煙・溶岩の噴出といった直接観測できる現象を伴うため,そのダイナミクスを理解することで観測量から噴火の条件や更に地下のマグマ生成・上昇メカニズムを推定することが可能となります.数値シミュレーションと室内実験を研究手法とし,火山噴火に伴う流体挙動の解明を目指した研究を進めています.
特に火山噴煙を研究対象として注目しています.火山噴煙はある噴火条件のもとで,
・噴煙は噴煙柱として上昇するか,火砕流として地表を流れ下るか
・噴煙柱は成層大気中でどこまで上昇するか
・どのサイズの火山灰がどこまで降り積もるか
という問題がまだ十分に理解されていません.噴煙は火山灰と火山ガスの混相流であり,噴煙と大気は乱流によって混合する,ということが問題を難しくしています.これらの問題を解明するために,なるべく仮定の少ない数値モデルを開発し,コンピュータ上で実スケールの噴煙を直接再現してみようという試みをしています.そのため,スパコンを用いた大規模並列計算をしています.また,火山噴火に伴う流動現象は,ジェット・プルーム・サーマルといった流体力学上の課題も含まれているため,室内実験でなるべく単純な条件下での流体挙動を調べ,新たなスケーリング則の発見を目指しています.
これらの研究は,現象の基礎的理解を目指していますが,同時に火山災害軽減を目的とした防災プロジェクトにも強く関連して進めています.また,火山現象の流動現象は地球内部や大気・海洋の流動現象に共通する部分が多いと考えられるため,他の地学現象における類似した問題の創出とその直接シミュレーション研究を更に目指しています.

主要論文・著書

1. Suzuki, Y. J., M. Iguchi, Determination of the mass eruption rate for the 2014 Mount Kelud eruption using three-dimensional numerical simulations of volcanic plumes, J. Volcanol Geotherm. Res., http://dx.doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2017.06.011, 2019.
2. Suzuki, Y.J., Costa, A., Cerminara, M., Esposti Ongaro, T., Herzog, M., Van Eaton, A.R., Denby, L.C., Inter-comparison of three-dimensional models of volcanic plumes, Journal of Volcanology and Geothermal Research, 326, 26–42, 2016.
3. Suzuki, Y.J. and Koyaguchi, T., Effects of wind on entrainment efficiency in volcanic plumes, Journal of Geophysical Research, 120, 10.1002/2015JB012208, 2015.
4. 鈴木雄治郎, 火山噴煙ダイナミクス:3次元数値シミュレーションモデルの発展と展開, 火山, 61(2), 385–397, 2016.
5. 鈴木雄治郎, 火山噴火における混相流現象 (火山噴煙の数値シミュレーション), 混相流, 29(2), 106–113, 2015.
6. 鈴木雄治郎・小屋口剛博, 爆発的噴火の非定常3次元噴煙シミュレーションに基づく火口周辺の堆積作用の検討, 月刊地球, 31 (1), 7–12, 2009.