メンバー

白井 厚太朗

SHIRAI, Kotaro

准教授
大気海洋研究所

居室: 大気海洋研究所314
電話: 04-7136-6410
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研究分野

地球化学・(古)環境学・(古)生態学・気候変動/物質循 環/生態系の共変化史解明

研究内容

私の大きな研究テーマは「気候変動・物質循環・生態系の共変化史解明」です.気候変動は物質循環を介して高次生態系まで影響を及ぼすだけでなく,それらの3つのシステムが相互に作用しながら地球環境が進化してきました.私は,高度な化学分析という地球科学的手法を基盤とし,成長線解析や微細構造観察などの古生物学的手法,食性解析や成長解析や回遊履歴などの生態学的手法,など周辺分野の技術と知識を融合させることで,その3つのシステムの相互作用や変動履歴を様々な時・空間スケールで解明する研究を進めています.具体的には二枚貝・サンゴ・有孔虫などの定住性の生物起源炭酸塩から過去の環境変動やそれに対する生態応答を復元します.骨や魚類耳石など移動する生物の硬組織から成長・回遊・食性などの生態履歴を復元します.また,環境・生態復元のための新たな指標開発にも精力的に取り組んでいます.それら現生試料で得られた知見を,博物館や研究所が保有するアーカイブ試料,貝塚などの遺跡試料,地質時代を通した化石試料,など様々な地域・時代の試料に応用することで,気候変動・海洋環境・生態系の進化史の解明を目指しています.サンプル採取のためのフィールドワークをすることもありますが,基本的にはコツコツと実験室で化学分析したり顕微鏡観察をしたりという研究生活になります.

主要論文・著書

1. Shirai K., Kubota K., Murakami-Sugihara N., Seike K., Hakozaki M. and Tanabe K. (2018) Stimpson’s hard clam Mercenaria stimpsoni, a multi-decadal climate recorder for the northwest Pacific coast. Marine Environmental Research, 133, 49-56.
2. Shirai K., Otake T., Amano Y., Kuroki M., Ushikubo T., Kita N.T., Murayama M., Tsukamoto K., Valley J.W. (2018) Temperature and depth distribution of Japanese eel eggs estimated using otolith oxygen stable isotopes. Geochimica et Cosmochimica Acta, 236, 373-383.
3. Shirai K., Schöne B.R., Miyaji T., Radarmacher P., Krause Jr R.A., Tanabe T. (2014) Assessment of the mechanism of elemental incorporation into bivalve shells (Arctica islandica) based on elemental distribution at the microstructural scale. Geochimica et Cosmochimica Acta, 126, 307-320.
4. 白井厚太朗 (2014)微小領域分析法を用いた生物起源炭酸塩骨格の微量元素変動メカニズムに関する研究(総説),地球化学,48, 147-167.
5. 白井厚太朗 (2016) サンゴ礁科学への炭酸塩分析による学際的アプローチ,号外海洋,56,116-127
6. 横内一樹,天野洋典,石村豊穂,白井厚太朗 (2017) 耳石の元素・同位体比分析による回遊生態研究(総説).水産海洋研究,81, 189-202