研究分野
測地学・地殻変動
研究内容
GNSSなどの測地観測データと断層運動・地球変形の数値モデルを用いて、地震サイクルに関係した地殻変動や断層運動を明らかにし、それらのメカニズムを解明することを目的とした研究を行っています。また、このような研究に必要な地殻変動のモデル化手法の開発にも取り組んでいます。
1. 地震サイクルに関係した地殻変動のモデル化
地震前の断層の固着、地震時の高速な断層すべり、地震後の低速すべり(余効すべり)という一連の断層の固着・すべり(地震サイクル)は粘弾性的なアセノスフェアと相互作用しながら地球の変形を引き起こし、GNSSなどの測地学的な手段により地殻変動として観測されます。地震サイクルの理解を深めるために、断層の固着・すべりと粘弾性緩和を組み合わせたモデルを用いて測地データをモデル化する手法を開発し、巨大地震前後の断層の固着・すべり、粘弾性変形の地殻変動への寄与、断層の摩擦特性、アセノスフェアの粘弾性レオロジーなどを明らかにする研究を行っています。
2. 地殻変動のモデル化手法の開発
上記の研究を進めるためには、複雑な数値モデルのパラメータを観測データから推定することが必要となります。このための手法の開発を逆問題、ベイズ統計、データ同化の理論に基づいて行っています。この他、断層すべりや地殻変動の時空間変化を測地データから推定する手法の開発を行っています。
主要論文・著書
1. Fukuda, J., and K. M. Johnson (2021), Bayesian inversion for a stress-driven model of afterslip and viscoelastic relaxation: Method and application to postseismic deformation following the 2011 Mw 9.0 Tohoku-Oki earthquake, Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 126, e2020JB021620, doi:10.1029/2020JB021620. 2. Fukuda, J. (2018), Variability of the space-time evolution of slow slip events off the Boso Peninsula, central Japan, from 1996 to 2014, Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 123, 732-760, doi:10.1002/2017JB014709. 3. Fukuda, J., and K. M. Johnson (2010), Mixed linear-non-linear inversion of crustal deformation data: Bayesian inference of model, weighting and regularization parameters, Geophysical Journal International, 181, 1441-1458, doi:10.1111/j.1365-246X.2010.04564.x. 4. 福田淳一 (2017), 房総半島沖スロースリップイベント, 地震ジャーナル, 64, 1-8. |