メンバー

野津 翔太

NOTSU, Shota

助教
地球惑星システム科学講座

居室: 理学部1号館西棟721
メールアドレス:
HP: http://sites.google.com/view/shotanotsu/

研究分野

惑星系形成論・アストロケミストリー・宇宙物理学・観測天文学

研究内容

 今までに5000個以上の太陽系外惑星が発見されていますが、軌道や質量などが従来の惑星形成理論で説明困難なものも存在します。私は多様な太陽系外惑星の分布・大気構造も普遍的に説明できる理論の構築を目指し、惑星形成の現場である原始惑星系円盤(および原始星天体・系外惑星大気)の物理・化学構造とその進化を、理論計算と天文観測(アルマ望遠鏡など)の手法を用いて幅広く研究してきました。 これまでの主な研究課題は、(1) 原始惑星系円盤のH2Oスノーライン: 化学構造計算・高分散分光観測による位置決定、(2) 太陽系外惑星大気と円盤の化学構造の関係 -元素組成比と惑星形成環境-、(3) 原始星天体の化学的多様性: H2O および関連分子組成に対する X 線放射・宇宙線電離の影響、などです。 これらの研究においては、円盤内で各分子が気相と固相で存在する領域の境界である"スノーライン"が共通の鍵となっています。スノーラインを軸に円盤内の温度分布・分子組成分布とその時間進化、惑星形成環境との関わりなどについて議論を進める中で、星・惑星形成段階の化学進化過程の理解の深化を目指してきました。 今後は円盤化学構造と太陽系始原天体の化学組成の比較や、円盤内縁高温部の化学進化過程など、天文学と太陽系科学・惑星科学を繋ぐ観点の議論・研究もさらに深めていく事ができればと考えています。

主要論文・著書

1. Notsu, S., Ohno, K., Ueda, T., Walsh, C., Eistrup, C., Nomura, H. (2022) "The Molecular Composition of Shadowed Proto- solar Disk Midplanes Beyond the Water Snowline", The Astrophysical Journal, 936, 188
2. Notsu, S., van Dishoeck, E. F.; Walsh C., Bosman, A. D., Nomura, H. (2021) "X-ray-induced chemistry of water and related molecules in low-mass protostellar envelopes", Astronomy & Astrophysics, 650, A180
3. Notsu, S., Nomura, H., Ishimoto, D., Walsh, C., Honda, M., Hirota, T., Millar, T. J. (2017) “Candidate Water Vapor Lines to Locate the H2O Snowline Through High-dispersion Spectroscopic Observations. II. The Case of a Herbig Ae Star", The Astrophysical Journal, 836, 118
4. 野津翔太 (2024) "2022年度最優秀研究者賞 受賞記念論文: 原始惑星系円盤の化学進化とスノーライン - 水・有機分子の起源", 日本惑星科学会誌「遊・星・人」, 第 33 巻, 1 号, p.4-13
5. 野津翔太 (2022) "低質量原始星エンベロープと円盤の化学進化: H2O スノーラインと中心星 X 線放射", 天文月報, vol. 115, No.4, p.252-262
6. 野津翔太 (2018) "2017年度最優秀発表賞受賞論文: 高分散分光観測を用いた原始惑星系円盤のH2Oスノーラインの同定可能性”, 日本惑星科学会誌「遊・星・人」, 第 27 巻, 3 号, p.120-126