研究分野
宇宙惑星物質進化学
研究内容
私たちの太陽系は宇宙空間においてどのようにして誕生し、その後地球をはじめとした惑星の形成に至ったのか、一連の物質進化過程の謎を紐解くために、以下のようなテーマに取り組んでいます。
1. 太陽系誕生時の環境・温度条件と初期太陽系物質進化:
太陽系誕生期の周辺の恒星の種類や、原始惑星系円盤における物質進化を、隕石や隕石を構成する微小固体物質の分析から明らかにしようとしている。具体的には、質量分析計を用いた同位体分析法や年代測定法、および顕微鏡を用いた鉱物組織観察などを適用し、個々の試料の溶融環境や空間情報に時間軸を与えた議論を展開することで、惑星形成に至る物質進化の実態解明に挑んでいる。
2. 地球形成後の太陽系物質進化:
地球の材料物質はさまざまな隕石種の混合物であり、経時的に変化していた可能性が示唆されている。宇宙化学的な視点から地球材料物質の起源を特定することにより、地球初期進化研究を太陽系物質進化学という広い観点に位置づけていきたいと考えている。最近では、深部マントル由来火成岩や地球上に残されている隕石衝突層から地球形成期・初期生命誕生期に地球外で起きていたプロセスを探っている。
3. 将来のサンプルリターン計画のための分析装置・化学分析法の開発:
国際的な探査計画にも参画し、日本の宇宙開発における諸問題の解決にも惑星科学の観点から貢献することを目指している。具体的には、将来のサンプルリターン試料から最大限の化学的情報を引き出すための装置・分析法の開発を行っている。また最近では、隕石試料の化学分析と探査観測データを組み合わせることにより、未来の地球外資源探査に向けた理学的な基礎研究も進めようとしている。
主要論文・著書
1. Hibiya, Y., Iizuka T., Enomoto H., Hayakawa T. (2023) Evidence for Enrichment of Niobium-92 in the Outer Protosolar Disk, The Astrophysical Journal Letters, 942, L15. 2. Hibiya, Y., Iizuka T., Yamashita K., Yoneda S., Yamakawa A. (2019) Sequential chemical separation of Cr and Ti from a single digest for high precision isotope measurements of planetary materials. Geostandards and Geoanalytical Research, 43, 133–145. 3. Hibiya, Y., Archer G. J., Tanaka R., Sanborn M. E., Sato Y., Iizuka T., Ozawa K., Walker R. J., A. Yamaguchi A., Yin Q-Z., Nakamura T., Irving A. J. (2019) The origin of the unique achondrite NWA 6704: Constraints from petrology, chemistry and Re–Os, O and Ti isotope systematics. Geochimica et Cosmochimica Acta, 245, 597–627. 4. 日比谷由紀 (2023) 初期太陽系物質進化解明の鍵を握る隕石の質量分析と同位体二分性, Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan, 71, 168. 5. Iizuka T., Hibiya Y., Yoshihara S., Hayakawa T. (2025) Timescales of Solar System Formation Based on Al–Ti Isotope Correlation by Supernova Ejecta. The Astrophysical Journal Letters 979, L29. |