研究分野
鉱物学・結晶科学・電子顕微鏡
研究内容
私たちが暮らす地球の最小構成単位は「鉱物」ですが、野外で日常的に目にするのは、それらが集まってできた「岩石」や、それが重なって形成された「地層」や「岩体」がほとんどです。しかし、条件が揃えば、鉱物は選択的に濃集して様々な形態・組織を示す結晶を作ります。我々の研究室では、天然試料や実験合成試料の微細構造や化学組成を電子顕微鏡を用いてナノメートルスケールまで詳細に追跡し、鉱物の起源と成因、結晶化のメカニズムを解明することを目指しています。鉱物の産状や成因、物理化学特性などを調べることは、より大きなスケールの地質現象の仕組みを理解し、根底にある“物理・化学の普遍性”を見出すことに繋がります。フィールド調査からミクロ-ナノ観察に至るまでの幅広いスケールと階層で「なぜ?」を追求し,局所から得られた情報をマクロへ拡張し、未解決の問題の解明や新たな課題の探求を目指します。
【鉱物の濃集・結晶化メカニズムと生命・有機物の作用】
鉱物は、単結晶から多結晶まで様々な形態・組織をつくります。それらは成長時の周囲の環境(平衡からの外れ量=駆動力)に依存するため、鉱物の表面や内部組織を調べれば、どのようなメカニズムで生成したかを知ることができます。特に最近、天然の鉱物生成において微生物や有機物が重要な役割を担っているケースを多く観察しており、鉱物生成場におけるそれらの相互作用についても詳しく調べています。
【ダイヤモンドの起源と成因】
高温高圧下で安定なダイヤモンドは主に地球の深部で形成され、特殊なマグマや大陸衝突によって地表にもたらされます。最近、我々はマントル深部でのダイヤモンドの生成にメタンに富んだ還元的な流体が関与している可能性を見出し、天然試料の記載分析と高圧実験の両面から調べています。また、日本で2例だけ発見されているダイヤモンドの起源・成因には不明な点が多く、詳細な検討を行っています。
【鉱物学・結晶学を活かした応用研究】
鉱物学・結晶学の知識やノウハウ、研究手法は、純粋地球科学だけでなく、材料科学や環境科学、農学など様々な分野へも活用できます。カリウムは植物の必須栄養素で農業では肥料供給が不可欠ですが、日本はその原料の100%を輸入に頼っており、近年の肥料価格の急騰は死活問題となってきています。地殻に豊富に存在するものの未利用資材であるカリ長石や花崗岩中のカリウムの資源利用を目指した研究も進めています。
主要論文・著書
1. Kamada, T., Ohfuji, H. (2026) Pyrite formation in modern stromatolite at hot spring in Fukiagesawa, Osaki City, Miyagi, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 121, 009. 2. Ohfuji, H., Irifune, T., Litasov, K. D., Yamashita, T., Isobe, F., Afanasiev, V.P., Pokhilenko, N.P. (2015) Natural occurrence of pure nano-polycrystalline diamond from impact carter. Scientific Reports, 5, 14702. 3. Ohfuji, H., Boyle, A.P., Prior, D., Rickard, D. (2005) Structure of framboidal pyrite: an electron backscatter diffraction study. American Mineralogist, 90, 1693-1704. 4. 大藤弘明(2026)イオンビームによる電子顕微鏡観察のための岩石鉱物試料作製法,地球科学,80,137-145. 5. 大藤弘明(2018)微細組織から探るグラファイト-ダイヤモンド相転移と結晶化・組織化メカニズム,岩石鉱物科学,47,1-12. 6. 大藤弘明(2011)フランボイダルパイライト-天然における鉱物の不思議な自己組織化作用-,日本結晶学会誌,53,46-51. |